涼と癒やしを求めて、街の喧騒を忘れさせてくれる場所へ
先日、国の名勝であり「日本の歴史公園100選」にも選定されている「縮景園」を訪れた。梅雨が明け、厳しい暑さが続くなか、少しでも涼しい気分に浸りたいと思ったからだ。
「縮景園」は元和6年(1620年)、広島浅野藩初代藩主・浅野長晟(ながあきら)が別邸の庭園として築成したと伝えられており、作庭者は家老の上田宗箇(そうこ)。彼は「上田宗箇流」という武家茶道の流祖。上田宗箇流といえば、G7広島サミットで首脳配偶者の皆さんが、十六代家元・上田宗冏(そうけい)さんによるお点前を鑑賞したことでも注目されている。
縮景園は、その名の通り、景勝地を縮小して表現した庭園。そのモチーフとなったのは、中国の世界的な景勝地「西湖」だそう。園内の中央には濯纓池(たくえいち)と呼ばれる池があり、その周辺に山や川、茶室や四阿(あずまや)が巧妙に配置されていて、広島市の中心部とは思えないような風景が広がっている。
この庭園の魅力はなんといっても、春は桜や桃、夏は新緑、秋は紅葉、冬は梅や椿…と、四季折々の自然の美しさを楽しめること。江戸時代の大火や原子爆弾により大きな打撃を受けながらも、その都度復旧され、400年以上もの長い年月をかけて多くの人たちの手で大切に守られてきた。そんな歴史に思いを馳せながら鑑賞すると、感動が深まる。実は今回、数年ぶりに訪れたのだが、来園客のほとんどが海外の人だった。皆さん、園内のあちこちで記念撮影をしたり、池の鯉を見て歓喜したり、とても楽しそうに過ごされていて、気分がほっこり。そして、広島県人として誇らしい気持ちにもなった。
ちなみに、縮景園には広島県立美術館が隣接していて、共通の入場券も販売されている。美術館のみを利用するよりもお得なので、広島に来られる機会のある方は、ぜひセットで楽しんでみて。
縮景園Webサイト https://shukkeien.jp/
広島県立美術館Webサイト https://www.hpam.jp/museum/