宝石の想い出――”ジュエリー”と”鉱物”それぞれの魅力
かつて……と言っても7~8年ほど前だが、仕事で結婚指輪や婚約指輪に関する記事を担当していたことがある。
それをきっかけにどうしてもここの指輪が欲しい!というブランドを見つけ、若さゆえの勢いも手伝って京都まで打ち合わせに走った日が当時ちょうど9月ごろだったはず……と思い出して、ふと疑問が湧いた。
「一般的に、“本物”のジュエリーに触れるきっかけっていつなんだろうか?」と。
本物、というと定義が難しいが、日本ジュエリー協会によれば
・装身具のうち、素材に貴金属、天然宝石を用いた宝飾品を言う。
引用元:ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定 2017(平成29)年度改訂版
とのこと。
それ以外の例えばジルコニアや真鍮、合金、布、樹脂ガラス、プラスチックなどが用いられた装身具は「アクセサリー」と分類されるらしい。
いや、まあ当然幼少期からジュエリーしか身近に存在しなかった、という方もいるだろうが、そんなやんごとなき環境ばかりではないわけで。作品としてはアクセサリーも十分魅力的だが、ジュエリーは何となく特別なタイミングで出逢うもの、というイメージが強い。
高校~大学の入学祝いとか、成人祝いに冠婚葬祭用のパールや一粒ダイヤのネックレスをもらったとか、パートナーとのペアリングや結婚指輪を購入したとか、おおむねそういった機会に「自分だけのジュエリー」を身に着けるようになる人が多いのではないかと思っているんですが、どうなんでしょうか。
◆装身具に限らない、“石”の魔力
また、装身具としてのジュエリーにこだわりがなくても、宝石そのものは好き!というパターンもあると思う。
以前『宝石の国』という作品がアニメ化された際、鉱物マニアと呼ばれる方々が話題になってからというもの、更に興味を持つ人の割合が増えているようだ。
鉱物はルースの状態で置いておくだけでも芸術品の如き輝きを見せるが、インテリアとしてだけでなく“魔よけ”にもなるのだ、と学生時代友人から教わったことがある。彼女は家族全員が異なる宗教観を持つというご家庭で育ち、タロット占いに造詣が深い女性だった。
彼女との会話ではよく新鮮な驚きを覚えたが、中でも今は「玄関先の石は定期的に交換しなければならない」との話を思い浮かべる。塩と一緒で徐々に悪い気が溜まっていくのか、あるいはお守りのように効力が切れるのか……魔よけアイテムである以上、扱いは基本的にどれも同じらしい。
天然石はそれぞれに様々な意味を持ち、ヒーリング効果をもたらしてくれるだけでなく、直感力アップや恋愛運、金運アップなどのお守りとしても重宝すると言われている。私もいつか長年の憧れ、誕生石でもあるアレキサンドライトを迎えたいなあと想いを馳せつつ、粛々と机に向かうばかりである。
ちなみに、図鑑や写真集とは違い「宝石ならではの世界観を味わいたい」という方におすすめなのが、長野まゆみ先生の『鉱石倶楽部』。
幅広い鉱物の写真とともにそれを用いた独特のストーリーが展開されており、読みごたえが素晴らしい。
最も注目すべきは、「石の外見的なイメージに基づく架空の紹介文」が添えられているところだ。次のページに本物の解説も記載されているので、すぐさま誤解は解けるのだが、長野先生ならではの解釈に頷く箇所も多い。
宝石を見て「ちょっとおいしそう」と感じたことがある方は、ぜひ一度開いてみてはいかがだろうか。
※キャプチャ画像参照元:ぱくたそ