大規模な「縁日」の魅力――筥崎宮放生会に寄せて

福岡
ライター
kosaka
香坂

夏の一大イベントのひとつとして『縁日』がある。

 

縁日といえば屋台が建ち並ぶお祭りを思い浮かべる人も多いだろうが、本来神社仏閣における神聖な儀式であり、それに付随して自然と人々が楽しめる催しが行われるようになった、というのが真実らしい。

 

辞書にも以下のように記されている。

 

ある神仏に特定の由緒ある日。この日に参詣(さんけい)すれば特に御利益があると信じられている。毎月の、5日は水天宮、18日は観世音、28日は不動尊など。有縁(うえん)の日。結縁(けちえん)の日。

 

※引用元:goo辞書(https://dictionary.goo.ne.jp/word/縁日/

 

福岡で有名な縁日には、暑さも少しばかり落ち着いた9月に開催される『筥崎宮放生会(はこざきぐうほうじょうえ)』が挙げられるだろう。

 

どんたく・博多祇園山笠とともに博多三大祭りに数えられる放生会は、「合戦の間多く殺生すよろしく放生会を修すべし」との神託に基づき、「万物の生命をいつくしみ、殺生を戒め、秋の実りに感謝する」ことを目的として千年以上続けられている崇高な神事だ。

 

……といっても、正直花より団子よろしく屋台の彩りに目移りする参加客も少なくないと思う。

 

私も田舎出身ということもあり、大学時代初めて訪れた際には例に漏れず、地元では見たこともないほど多種多様な屋台の華やかさに驚いたものだ。

お化け屋敷や見世物小屋など趣向を凝らされた施設も設けられており、その数は何と500軒を超えると言われる。

 

毎年9月の12日~18日と長期間開催されるので、特定の目的がない限り土日休みの人も平日休みの人もどこかのタイミングで足を運べるのが嬉しい。

 

しかしこの縁日の屋台、飲食系はしいて言えば目についたものにすぐ飛びついてしまうため、のちに「こんな屋台もあったんだ!」と気づいた時には胃の限界を迎えていたりするのがネックである。

 

せっかく海外グルメや気になる飲み物があっても、たいてい来年こそはと涙を飲んで帰宅することになるのだ。そう、毎年「来年こそは」と思っている、のだけれども……!

 

いや、かき氷も焼きそばもたこ焼きもきゅうりの一本漬けも縁日ならではの風物詩なのだし、定番だからといって決して後悔はしない。

 

私の胃がもっと強靭であったなら。ただそれだけの問題なのだが、残念ながら年々更に貧弱になるばかりだ。歳を重ねることは否定したくないと思うものの、こういう老いは本当に受け入れ難い。

 

ちなみに今年も近日チャレンジ予定。(行ったレポートを書けばいいのに……というのはひとえに私の計画性のなさゆえなので禁句としておきたい)

 

だから今は「今年こそは」と意気込んでいる。今年こそは、事前に下調べを行った上で狙いを定めて行こうと。

 

ーーまあきっと、入念な下調べの上、最初に目に入った屋台に吸い寄せられるに違いないけれど。

 

それはそれで、縁日の醍醐味なのではないだろうか。

 

 

【筥崎宮放生会 2024】

日時:9月12日~18日

◆9月12日18時から(御下り)
御神幸が「筥崎宮」を出発。九大病院前や、JR吉塚駅前、
箱崎小学校前などをまわり、22時に頓宮に到着。
◆9月14日19時から(御上り)
「御下り」のコースを逆に進み、約1時間かけて「筥崎宮」へ。

場所:筥崎宮全域

アクセス:【福岡市営地下鉄】 箱崎宮前駅下車→徒歩3分(1番出口)

【JR鹿児島本線】 箱崎駅下車→徒歩8分

【西鉄バス】 箱崎下車→徒歩3分

【JR九州バス】 箱崎1丁目下車→徒歩2分

※参照元:筥崎宮公式HP(https://www.hakozakigu.or.jp/index.html

プロフィール
ライター
香坂
オリジナル会葬礼状のライター業を経て、現在はWEB系のフリーライターとして活動中。漢字とひらがなのバランスに悩むのが好き。仕事におけるモットーは「わかりやすく、きれいに」。趣味はお酒・アイドル・展覧会鑑賞・化粧品。創作は何を書いても不穏な雰囲気になるのが強み、かもしれない。

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