ふいに飛び込んだ先に、思いがけず素敵な世界が広がっている。

そんなこともあるのだ、とつくづく実感させられた日だった。

その日は前職の同僚たちと、久々の再会。

食事を楽しんだ後も少し話し足りないね、という雰囲気になり、周辺でカフェかバーはないかな、と探し始めた。

とはいえ、私も近隣の学校に通っていた頃からはや10数年。土地勘はすっかり衰えている。

けれど昔から雰囲気のよいお店が並んでいたイメージはあるし……とのんびり通り沿いを歩いていたところ、夜の淑やかな空気の中に温かい灯りを見つけた。

アメリカン、と一言で表現するのも憚られる、木の質感に煉瓦やレトロなロゴがマッチしたハイセンスな外観。

外に飾られたメニューを眺めると、何とこだわりのコーヒーに加え、ビールもハイボールもある。

1人はノンアルコールを希望していたこともあって、ここにしましょう！と喜び勇み扉を開いた。

店内にはどこか懐かしい、重厚さと軽やかさを併せ持つような曲が流れている。

レコードだ、と気付いた時には、このお店がおそらく大人の隠れ家的な場所なのだと理解できた。

（あ、もしかして場違いだったかも）

瞬時に不安を掻き立てられるも、その風景に似合いのマスターがにこやかに迎えてくださったので、ほっと胸を撫でおろす。

コロナビール、ハイボール、コーヒーフロート。

各々注文した飲み物を味わいつつ、暫し歓談に勤しむ。

そうしているうちに同僚の1人がひと足先に帰り、飲酒勢だけが残った。

せっかくこんなお店と縁が生まれたからには、色々と話を聴いてみたい。

そう思いつつ、常連さんたちとの交流を邪魔するわけには……と悶々と（正確にはコミュ力のなさに対する言い訳を）していると、助け船とばかりにマスターや他のお客さんが声をかけてくれ、お店のことやお互いのことなど、無事様々なエピソードを伺うことができた。

ついでにお酒も1杯ご馳走になってしまった。あの時の方本当にありがとうございました……！

店名である『COFFEE AND CIGARETTES（コーヒーアンドシガレッツ）』は、2003年に公開されたアメリカ映画が由来であるということ。

テーマは“映画と音楽と会話を楽しむコーヒー屋”であり、定期的に演奏家やDJの方を招いて音楽ライブ、映画を愛する者同士のお話会、ワークショップなどを開催していること。（この日も翌日にちょうどライブの予定が入っていました）

壁に展示されているギターの数々の中で、特に目を引く目玉のモチーフは『レジデンス』というアメリカのバンドに基づいていること。

……つまりですね。これほど無知な人間であっても温かく対応してくださるお店だということです。

私自身が披露できた話題といえば、「ホラー映画は技術が未発達な時代の方がよりグロテスクに感じられるんですよね」程度のものである。ヘルレイザーとかね……リブート版観なきゃだなあ。それはそれとしてこのような人を選びまくるジャンルであっても優しく相槌を打ってくれるのがマスターなのだ。

何も知らずに突撃しておいてこの体たらくか、と反省するばかりであったが、逆にレコードの音源や映画、バイクなど新たな視野が広がった気持ちで非常に有難かった。

ちなみにマスターの造形の深さやお店の雰囲気、仲間同士で気兼ねなく語らえる魅力に惹かれ、遠方から訪れるお客様も少なくないという。

というか同じ趣味の方々の間では大変有名なお店だそうで、その点にも恐縮してしまったものの、この日出逢えて本当に良かった、とも思う。

とりあえず次にお邪魔できたら、ぜひ自慢のハンバーガーをいただきたい！と意気込んでいる。

皆様も二日市周辺にいらした際には、コーヒーやお酒を片手にこだわりの映画や音楽へと浸ってみてはいかがでしょうか？毎日更新されるインスタも必見です！

【COFFEE AND CIGARETTES】

所在地： 福岡県筑紫野市二日市中央4-14―3 手島ビル

営業時間：14:00 ～ 23:00（木曜定休）

電話番号：092-231-2038

アクセス：西鉄大牟田線「二日市駅」より「にしてつ通り」を徒歩2分

Instagram：https://www.instagram.com/coffeeandcigarettes_fuk/