ニッポンはすごい?

東京
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TOKYOそういえば日記 71
コジマカツヒコ

もう30年も40年も昔のうわさ話。アメリカ車、いわゆるアメ車のこんなエピソードを読んだことがあります。

 

「へこんだドアを修理に出したら中からチキンの骨が出てきた」

 

要するに新車を組み上げる工程できっとお昼にチキンを食べたのでしょう。食べ終えたチキンの骨をドアの内側にポイッと

捨てていたというエピソード。某有名自動車雑誌のコラムでしたけれど「さもありなん!」と思ったのでした。

 

今となっては当時なぜ「さもありなん!」と思ったのか。自分はアメ車を買ったことはないし、親戚にもアメ車に乗っている人はいないのに。

たぶん世の中にふわ〜っと「外国のモノは作りが雑」みたいな空気が漂っていた気がします。

 

特に自分が子供の頃は日本車が世界中を席巻している時期でした。

安くて丈夫で作りが丁寧な日本車にアメリカもヨーロッパも絶賛! なテレビニュースが連日流れていた頃。

 

だからきっと自国のモノ作りを讃える逸話の中にちょっと踏み台のようにして「外国は雑」という小ネタが混じっていたのでしょうね。

特に外国を悪く言う意図は無かったとしても。

 

 

“ニッポンはすごい”

 

うん確かに。異論は無いです。メイドインジャパンは優秀。

だけど大人になってなぁ〜んか「不自然な推し」も感じ始めたのでした。

 

仕事が駆け出しの頃、百貨店や高級セレクトショップをクライアントにすることが多かったのですが、広告に掲載する商品の下見会というものがあります。

 

その下見会で出てくる時計、宝飾品、家電、家具など、どれもがものすごく丁寧に作られていました。

もちろん大半は値の張るものでしたが、手頃な価格の品でも同じように感じたのを覚えています。

 

で、いちばん衝撃を受けたのがApple社のiPod。

 

初代は2001年にデビューしました。当時、機能の他で感心したのがチリが完全にぴったりとした(パーツの組み合わせ部分にズレが無いこと)精度の高さ。

 

SONYのウォークマンを上回っているかも、と思いました。

「ドアからチキン」はたまたまで、本当はアメリカって、外国も、すごいんじゃないの?? 

 

続けてまたAppleから。

2008年にはアルミニアウムの塊から削り出して作られた新型のMacBookが登場します。

 

薄くて軽くて美しい。飛行機から落としても普通に動いていたとか。本当かウソか知りませんけど。

 

このあたりになるともう工芸品レベルの細密さ+タフさが同居していて、ますます「外国をナメちゃいけない」と思うようになった次第。

 

よく僕らの仕事で「思い込みを捨てなさい」と言われますが、まさしくそれ。

 

アルミのMacBookが登場した頃に実感として思い知ってからようやく

『なんとなくそう思っていた事はまず捨てる』が実践できるようなった気がします。

 

「●●が普通」「●●はすごい、あるいはヒドい」

 

それ本当かなぁ?  をずっと繰り返して仕事をしています。また、少しおおげさかもしれませんけど

たいていのアイデアはそこから出てきた気がします。

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コジマカツヒコ
本編の続きみたいになりますが、「プーチンはひどいやつ、だからゼレンスキーはいいやつ」な空気もちょっと「?」がありますよねぇ。

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