みちのくクリエイティブ探訪③仙台駅西口2階改札前
仙台の待ち合わせ定番スポットといえば「伊達前」「ラス前(デパートの『フォーラス』前)」「ディズスト前(ディズニーストア仙台東映プラザ店前)」。このうち「伊達前」は、JR仙台駅2階の西口側改札前にある伊達政宗公の騎馬像前を指す。騎馬像は宮城県大崎市の陸羽東線有備館駅前に移設されていなくなってしまったが、この場所は今でも「伊達前」と呼ばれて親しまれている。だって政宗様がいるんだもん、ステンドグラスの中に…。
あ、あれ?政宗様はどこ?
めっちゃ上の方にいらっしゃいますね。
中央に配置されている丸い玉みたいなものは仙台七夕を象徴する「巨大な吹き流し」、右下は日本三景・松島にある国指定重要文化財「瑞巌寺五大堂」だ。そして鮮やかな色彩は、かつての仙台藩で政宗公によって培われた、個性的溢れる「伊達な文化」を表現しているようだ。
西口側の改札を抜けると正面にバーン!!とこの作品が目に飛び込んでくるので、なかなかインパクトがある。特に午後の西日が差し込む時間帯に行くと、光にキラキラ照らされてより美しくなるので一見の価値あり。3階の新幹線改札口方面から眺めるのもオススメ。
…だが、サイズがあまりにもデカすぎて近くにいると逆に存在感が薄くなる上に、皆さんスマホの画面を覗き込んで待ち合わせ相手と連絡を取り合ってたりするので、あまり作品に目を向ける人がいないのが残念である。
作品名は「杜の讃歌」。
原画・制作は洋画家の近岡善次郎氏。宮城県のお隣・山形県新庄市の出身だが、仙台の文化や雰囲気に理解がある方とお見受けした。ベルギー出身の芸術家で数多くのステンドグラス作品で知られるルイ・フランセン氏が制作協力し、4年後の東北新幹線開通に先駆けて1978年6月8日に発表されたとのこと。詳しくは日本交通文化協会のホームページで紹介されているが、制作に携わった人びとは作品を通して仙台の発展がさらに盛り上がることを願ってくださったのではないだろうか。
作品紹介の下には仙台の歴史・由来と、仙台駅開業までの歩みが簡単に記されている。寒村だった時代に生きていた人たちに、東北最大の都市となった今日の仙台を見せたらきっと驚くに違いない。
市民にとって身近なスポットだからこそ、改めて作品の存在と記されている言葉の意味を確認しておきたい場所の一つである。