写真家・山崎エリナさんのトークショーにお邪魔して
10月16~28日、リコーイメージングスクエア新宿で世界的写真家・山崎エリナさんの写真展「インフラメンテナンス ~日本列島365日、安全・安心の守り人~」が開かれた。この写真展では写真集「インフラメンテナンス 〜日本列島365日、道路はこうして守られている〜」に掲載されている作品と、冊子未掲載の新作が展示紹介された。19日には山崎さん自身が作品を解説するトークショーも開かれたのでお邪魔してきた。
これまで世界の美しい風景や人々の暮らしなどを撮影してきた山崎さん。福島県のある建設会社からインフラメンテナンス(=老朽化した道路や橋梁などの維持・管理)の工事現場の撮影依頼を受けたことがきっかけで撮影を始めたが、「緊張感溢れる作業現場の中で、作業にあたる人たちが顔をあげた瞬間に見せる笑顔に引き込まれた。その一瞬を切り取るのが楽しくて」と話していた。
トークショーでは自身の撮影時のこだわりについても話を聞けた。撮影時は望遠レンズを使わず、被写体になるべく近づくと同時に、トンネルなどの暗い場所ではフラッシュを焚かずにISO感度を高くしてシャッターを切った。「画質が粗くなってもいいから、この雰囲気を伝えたい!という思いがあった」という。
併せて、山崎さんは「長く現場に通い、作業員らとのコミュニケーションが密になるにつれて作品も変化していった」と語った。確かに撮影した順番に作品を見ていくと、物語性・ドラマ性…という表現が正しいかどうかはわからないが、だんだんと人々のやりとりや息遣いまで伝わってくるような内容に移り変わっていっている。展示されている作品についてそれぞれ振り返った後「写真は嘘つけませんよね」と仰っていた姿が印象に残っている。
今回のトークショーで山崎さん=プロのカメラマンから直接話を伺い、「写真作品とは、被写体への愛無くしては成立しないもの」であることを勉強させていただいた。今日までの自分の独りよがりな撮影を反省し、これからよい写真が撮れるように精進したい。