ふぇちって何だろう。辞書には「異常性欲の一。異性の身体の特定部位・衣類・所持品などの事物に対し，異常に執着・愛好する態度」とある。もともとの意味は、「呪物崇拝。物神崇拝」であるという。
　落語に『擬宝珠』という噺がある。「ぎぼし」とは、橋の欄干などについている玉葱型の金属装飾のこと。原話は江戸時代の笑話を集めた噺本に収められた「かなもの」や「金物好き」という話。
　ある大店の若旦那が気鬱で寝込み、恋煩いかと思ったら、“金物”煩いで、浅草寺の五重塔のてっぺんに付けられている金属（宝珠）をどうしても舐めたいと思うあまり病気になり、心配した親が足場を組んで、その思いを叶えてやるという内容。写真はその話に付けられた挿絵である。若旦那がうれしそうに五重塔のてっぺんの金属装飾（宝珠）を舐めている。
　この話は明治時代初期にステテコ踊りという珍芸で人気を博した初代三遊亭圓遊（１８５０〜１９０７）が、「金の味」という落語に仕立てた。その後演じる者がいなくなって忘れ去られていたが、これを15年ほど前に若者に人気の柳家喬太郎が復活させ、爆笑をとっている。
　喬太郎は、最近は「○○フェチ」ということが周知されているのでこの噺も受けるようになったのではないかと分析している。確かに「金属好き」ではピンとこないが、「金属フェチ」といわれればピンと来るものがある。
　果たして自分は何フェチなんだろう？ そう思っていたらネットで「あなたは何フェチ？選んだ画像から分かるフェチテスト」というものを見つけたのでやってみた。プレイ開始！
　最初の質問は「あなたの中で『平和』を感じる写真を選んでください」というもの。写真は①笑っている赤ちゃん、②ビルの屋上でくつろいでいる男女グループ、③道路を横断している２人のハイヒール女性、④麦畑と太陽の４つ。①を選ぶと次に「あなたの中で『緊張』を感じる写真を選んでください」と来たので、注射の写真を選択。こんな感じで「大胆さ」に金網リングで手を広げる筋肉男、「気分が良くなる」でハイヒールを脱いだ女性、「魅力」で牧場の木の柵、「不快」で有刺鉄線、「ワイルド」でアメリカンライダー……と選択していったところ、「あなたは束縛フェチを持っています」という診断が出た。