2019.12.16
ふゆのあらしはぶりおこし
金沢
ライター
いんぎらぁと 手仕事のまちから
しお氏
12月に入った第1週目。金沢ではあられが降りました。
重たい真っ黒な雲には、稲光。
11月になってもまだ暖かかったのに、桁違いの寒さでからだもびっくり。
ここ最近、異常気象だとかなんとか、天気は人間を裏切ります。
だけどこの冬の嵐だけは、毎年必ずやってくる。
北陸の冬の始まりを知らせる嵐のことを、「ぶり起こし」と呼びます。
ぶり、起こし。ぶりはそう、あの鰤です。
美味しい寒鰤を起こしてくれる、冬の嵐なので「ぶり起こし」。
ぶり起こしはたいてい雷がゴロゴロと鳴り、ふいにあられが大合唱し、そのうちしんとなって地面にはうっすらと雪が積もったりします。
そしてなぜか、ぶり起こしのあとは日本海で寒鰤が大漁になるとか。
寒くて暗い冬の嵐は気持ちも滅入りますが、そこを鰤につなげてしまうあたりが北陸人のしたたかさと日本海独特のユーモアを感じて、なかなか面白い方言だと思っています。
石川県のお正月料理・かぶら寿司にも、鰤は欠かせません。
かぶら寿司は輪切りのかぶに生の鰤や人参、唐辛子などを挟んで塩麹で漬けこむのですが、これがまた日本酒にあう!
お正月にかぶら寿司と熱燗、こたつとお笑い特番があればもう、言うことなしです。
北陸で冬の雷が鳴ると、美味しい鰤がくる。ぶり起こしが来たら、年末年始の準備をする。
そんな昔から続く金沢の師走に風情を感じながら、バタバタとせわしない12月を過ごすのでした。
少し早いですが、みなさまもよいお年をお過ごしください。
プロフィール
ライター
しお氏
ブランニュー古都。
ふるくてあたらしいが混在する金沢に生まれ育ち、最近ますますこの街が好きです。
タウン情報サイトの記者などをしながら見つけたもの、感じたことをレポートします。