2020.07.19
日常の中に隠れている「特別」
東京
フリーランス記者・作家
スーパーいわちゃんねる!クリ目版
岩崎氏
毎日が誰かの誕生日だし、命日でもある……というのはよくある話。「日常」「普通」「当たり前」、それでも誰かにとっては特別なものがあるかも知れない。
これはファミリーマートで販売されている「窯出しとろけるプリン」である。普通の人が見たらただのプリンであるが、私のようにサークルKサンクスでアルバイトしていた人間が見たらこう思うだろう。「窯出しとろけるプリン、お前生きていたのか」と。このプリンは元々、サークルKサンクスで販売されていた商品である。
サークルKサンクスは甘いものが得意なコンビニで、特にデパ地下のようなクオリティを追求したスイーツブランド「シェリエドルチェ」が自慢だった。「窯出しとろけるプリン」は扱っていない店は存在しないほどのシリーズ1番の売れ筋で、滑らかな口当たりと上品な甘さで多くのファンを獲得した商品だった。
サークルKサンクスがファミリーマートに吸収されて久しい。吸収されていく過程の中で消えていった商品が多数ある中、このプリンは恐らくファミリーマートの本部から「君、数字持ってるね~」と認められ、今も製造・販売されているのだろう。
久しぶりに食べてみたが、パッケージとロゴがファミマ仕様になっているところ以外は何も変わっていなかった。私がアルバイトしていた店は閉店し、系列チェーンも消滅した今、その痕跡がささやかに生き続けていることがちょっと嬉しかった。
プリンひとつで壮大なことを語ってしまったが、もしかすると他の誰かにとっての「特別」が、実はその辺に転がっているかも知れない。どうか、その人がその物事に気付けますように。
プロフィール
フリーランス記者・作家
岩崎氏
フリーランス記者・作家。メディア関係の仕事に就く傍ら、書いて撮って編集・デザインして発信できる「平面系マルチクリエイター」を目指す平成元年生まれ。巳年・蠍座の女。本家ブログは「スーパーいわちゃんねる!」で検索。宮城県出身、東京都在住。暑さと湿気に弱いので「自分って実は電化製品じゃないか」と疑い始めている。