『ガキ帝国』（81年）は1980年の秋にクランクインはしたものの、なにせ、初めての長編映画だし、現場は試行錯誤ばかりで思ったように運ばなかった。スタジオにセット

1980年の秋口から、初めての一般映画『ガキ帝国』（81年）は、準備も追いつかないままドタバタのうちにクランクインした。初日の早朝ロケは前夜から一睡もできなかっ

振り返ってみれば、70年代は無職同然の20代のボクには、懐にお金はなかったけれど、「映画という虚構」がいつも身の回りにあってくれて、映画を見るというより、映画を

『遠すぎた橋』（77年）という戦争巨編に刺激されて、改めて、戦争と暴力について考えるようになったのは確かだが、その頃、ボクが撮ってみたいと思う“戦い”の映画は、

昔のピンク映画界で一番忙しかった山本晋也先輩が、映画は「芸術」でも「娯楽」でもなく、その間にある「芸能」なんだ、と言ったのを今も覚えている。アメリカの映画アカデ

ある日、ピンクコメディー映画『未亡人下宿』シリーズで名を売る山本晋也監督は、新宿東口にある「ウェルテル」という静かな喫茶店で待っていた。ボクから見つけて手を上げ

76年になると、ボクは、自作の売り渡しで世話になったピンク界の先輩の現場の手伝い、つまり、助監督として何度か、東京と奈良を行ったり戻ったりした。地元に戻った時は

誰からも頼まれもしないのに撮ったボクのピンク映画もどきは、新宿のピンク専門の配給会社によって公開されたはずだが、さて、東京のどこの、関東の、東北の、北海道の、は

「映画は、人を退屈にさせてはならないし、愉しませて、悲しませて、喜ばせて、時間を忘れさせるものです、さて、次に紹介するのはこのアメリカンニューシネマです。主演は

仲間たちとピンク映画もどきの制作に命懸けで挑んだものの、既成の日本映画なんて壊してやる！映画界に殴り込んだる！と気合いを入れたものの、ボクらが作った『性春の悶々

1975年、ボクは仲間たちと自主製作映画、『性春の悶々』の制作に人生を賭けた。他人の作品を何百本見てこようが、何でもいいから、自分が作りたい映画を作らなければ、

映画館にかかる邦画は、アメリカンニューシネマの新鮮さはなく、見劣りするものばかりだった。『エクソシスト』（74年）は悪魔をリアリズムで見せる世界初のものだった。

1973年がくるのが殊更、待ち遠しかった。年が明ける前に、大阪の歓楽街・新世界にある洋画封切り館にかかっていた『バラキ』（72年）なんぞを、何か得るものがあるか

1972年、この年は見たくてうずうずする映画が、次から次に封切られて、ほんとに映画の勉強になって良かった。でも、もう親から小遣いはもらえないし、仕方ないからバイ

高校を卒業して、しなければならないこと、行かなければならない場所がなくなった時、ボクはやっと「自由」を手に入れた気分だった。『イージー・ライダー』（70年）で焚

洋画や邦画を片っ端から見ることに明け暮れた1970年代を、再び、追想したい。ボクが17歳から10年間に見た映画は数え切れない。恐らく、その10年間は後の80年代

人生は一度だ、この世以外に何がある、人は一人で耐え、一人で笑い、生きるのだ、と思わせる映画は、確かに気が安らぐのだった。主人公も孤独だし、誰もがそうなんだと気づ

享楽的なモノ、つまり、正義の味方が登場して、問題を解決する、早い話が、勧善懲悪なモノ。そういうものは映画館の前に立った時に直感で分かった。でも、映画は日々の喜怒

享楽的で荒唐無稽なモノには、興味がなかった。唯々、社会勉強、人生勉強になるモノを探した。それが、ボクの日々の充足感だった。高校入学してすぐに体験したスタンリー・

と、前回にも書いた。これは18歳頃のボクの映画への思いだった。折角、現実の気だるい時間を割いて映画館という非日常に逃げ込むのだから、心を揺さぶってもらいかった。